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StarCraft2の開発縮小のニュースはそんなに悲観的にならなくても良い気がするという話

StarCraft 2

若干旬を逃した感がありますが、特に日本人の間で「StarCraft2の開発縮小」について、必要以上に悲観的な意見が多かったように思うので、WoL以降全くStarCraft2をしておらず、なんならStarCraft1至上主義者超過激派である私sugeoが、元Blizzard Entertainment社員としての意見も織り交ぜながら思うところを書き記し、全国のStarCraft2 Loverたちの心配が少しでも和らぐ手助けになればこれ幸い。

有料コンテンツの追加開発は終了

事の発端はアメリカ時間2020年10月15日に公開された公式ニュースの内容。要するに「バランス調整などは必要に応じて続けていくけど、開発スタッフ縮小するから有料コンテンツを作るのはやめますわ!」という話。これに反応して、日本語に限らず英語圏でも「StarCraft2終わったな!」「ESLとの3年契約(残り2年)を最後にSC2のEsportsも終わりかよ!」みたいなお通夜コメントがちらほら見られた。

1998年にリリースされて、その数年後までパッチでバランス調整が続けられたが、その後2017年のRemasteredを除いて一切のサポートがなかったStarCraft1を愛する僕から言わせてもらうと「いや、SC2リリースして10年経ってるし、そもそも売り切りビジネスモデルなんだからそりゃ追加開発終わるでしょ!」って感じですね。でもそれじゃあ「SC2終わった!」という声は解決してないように感じますけど、個人的には「積極的なバランス調整はもう止めたほうがSC2のためなんじゃない?」という気持ち。

僕がStarCraft2に心ときめかなかったわけ

ちょっと話はズレますが、このブログ記事を読んでいるということは、みなさんsugeoさんのことをある程度知っているかと思いますが、僕、全くStarCraft2続かなかったんですよね。そりゃ2010年の発売当時は遊びましたとも。大会とかやったりねぇ。でも、当時から薄っすら気づいていたけど、面白くなかったんですよね。特に見るコンテンツとして面白くなかった。むしろプレイするコンテンツとしては、SC1は鬼畜みたいなゲームだから、SC2のほうがずっとプレイしやすいし、入口の難易度低いけどしっかり奥深くて、とても良いゲームだと思います。

ただ、面白くなかったんだよね。見るコンテンツとして。なんというか、Blizzardが拮抗した激戦の演出とか死にユニットを出さないようにした結果として「システム側が人間の限界を抑制する競技」になった感じなんですよね。SC1信者は日本にはほとんどいないので、ちょっと乱暴な発言かもしれないけど「じゃんけんしてる感じ」という感想。

SC2のゲームシステムの制限とプレイヤーの実際の実力の個人的なイメージ

上図のように「Blizzardの開発者が理解出来る範囲でバランス調整を試みた結果、人知を超えた圧倒的な存在がいたとしても、システム側が許した範囲のキャンパス内でしか戦えない。」感じが強かった。プレイヤーAプレイヤーBには明らかに差があるのに、システム側の限界値がシステムを超えた表現を許さずに両プレイヤーの実力はSC2というゲームを通すとほぼ同じに定義されてしまうような現象。僕が感じたそのイメージを具現化するように、SC1とは違ってSC2 Esportsシーンの優勝者は毎回違ったし、前回優勝者が予選で消えるなんて毎度のことだった。システムの限界を超えた人たちは一律でシステムの限界いっぱいまで制限されるので、その中で誰が勝っても負けてもおかしくなかったからだ。(と僕はその時に試合内容を見て感じた)そのあたりから一気に冷めちゃった。

ちょっと前置きが長くなったけど、話題になった公式ニュースの中では「有料コンテンツは作らないけど必要に応じてバランス調整は続ける」と書いてある。だからバランス調整は続くんだと思う。けれども、それが「消極的な調整」になることは想像に難しくない。競技としてSC2を見たときに、僕はそれは良い変化だと思う。人知の範囲内である開発者が、人知を超えた選手をシステムで縛る可能性が低くなるからだ。

今、世界のEsportsシーンはスタクラ世代によって支えられている

僕はBlizzard社員時代に、Community / Marketing / Esportsと、いろんな部署で働く機会をもらえた。ちょっと大変だったときもあるけど、自分はスペシャリストというより明らかにジェネラリストなタイプなので良い経験だったし、楽しかった。その過程で社内でも社外でもいろいろな人と接する機会があった。そんな僕からハッキリ言えるのは「今の世界のEsportsシーンはスタクラ世代が支えている」ということ。僕は2020年で34歳になるがスタクラ1世代としては少し若い。多くは36歳やそれ以上だと思う。いわゆる働き盛りの年齢に入っているのがスタクラ世代だ。

Blizzardにとって比較的新しい主力タイトルはHearthstoneとOverwatchだ。そのどちらも、リリースして最初にEsports戦略と基礎を作った中心的な社員は元SC2プロだ。そして世界No1のEsportsプロダクションカンパニーであるESLもやはりSC好きがたくさん働いているし、実際に彼らと会ってスタクラ談義も盛り上がった。Twitchが今ほどの巨大プラットフォームになるきっかけとなったのもSC2の存在がかなり大きいと言われている。今は世界に名を馳せる名門チームのSK Telecom T1もTeamliquidもみんなSC1から生まれた。さらに世界でEsportsビジネスに可能性を感じてスポンサーとして参入している各企業の中にもSCファンがたくさんいる。最近だと元SC2プロのTLOがShopifyというカナダの有名ECプラットフォームに就職したがそれもShopifyの重役のSC好きが知られている。とにかく世界にスタクラ世代はたくさんいて、めちゃんこ活躍している。

既報の通りESLはBlizzardとSC2 Esportsのパートナーとして3年契約を締結して、あと2年残っている。ESLはもちろん「SC2が好き」というだけのことで3年もの契約をしたのではなく、Blizzardへの支払い、現在のSC2が持つ数字、3年後にESLがそれをどこまで成長させられるのかなど損益計算の上で手を組んだんでしょう。発売から10年経つゲームと。

そもそも競技タイトルでは「メーカーの過度な介入」は邪魔になることさえある。さっき綴ったSC2のバランス問題もそのひとつだ。それに加えて、今の世の中には(もちろん基本的には韓国と英語圏に限定されるが)スタクラ愛が溢れている。既存のファンがSC2コミュニティを支えて活発な活動が続く限り、そこに参入する企業や資本はそう簡単にはなくならないだろうと思う。むしろ過去10年に渡ってシーンが続いているという「古さ」が信頼に変わる。いろんな要素を加えて考えてみると、そんなにSC2に対して悲観的になるようなニュースではなかったように感じませんか?(もちろん競技シーンに興味なくCOOPだけ楽しんでいた人にとってはマイナスしかない発表だったけど)

確固たるリーグの不在だけは課題

あえて問題点を挙げるとすれば「持続可能な経済圏を形成しているリーグ」の不在だけが問題だと思う。今でもSC2の大会は多すぎるぐらい世界中で開催されているけれども、メーカーからの出資がゼロでも自立して持続可能な経済圏を形成しているプロリーグは存在しない。ESLのそれも、あくまでESL単体での持続可能度であって、取り巻く選手やチームが生き続けることが出来るほどの規模は持ち合わせていない。というか、それを形成出来ているのは世界でもほんの一部のタイトルやリーグだけで、形成出来ているシーンのほうが少ない。SC1が今でも健在なのは、それを形成するためのノウハウと土壌を有し、未だ多くのファンを抱えている韓国という地で根強い人気があることが最大の要因だと思う。この点に関しては「悲観的」になる必要はないけれど「希望を持ちにくい」状況であるのは事実だと思う。

SC3はある?

問題になった公式ニュースには「SC2の開発縮小は何も悪いことばかりじゃない。これによって我々(Blizzard)はSC2に限らずSC1も含めたスタクラIPの将来にとって何がベストか考える余裕を持つことが出来る。」みたいなことが書いてあるので「それってSC3ってことかい!?」という声が主に英語圏でちらほら見られた。もう僕はBlizzard社員ではないし、何かを知っているわけじゃないけど、経験上強く断言出来る。「StarCraft 3は出ない。出るとしたらそれはRTSじゃない。」繰り返しだけど、これは断言出来る。

「BlizzardはActivisionになったんだよ」と言われることが増えた。悪い意味で。2019年初頭の大量レイオフ事件から。それは事実だと思うけど、同時に「Blizzardという企業が大きくなりすぎて自重を支えるために求められる収益の額が膨らみすぎた」ということを考えると、必ずしも悪い経営判断であったとは言い切れない。事実としてレイオフ後にActivision Blizzardの株価は伸びたし、僕が株主であったとしたら、あの経営判断はある程度歓迎しただろうと思う。モバイル版Diablo開発発表でのバッシングなども含めて「Blizzardは変わってしまった」と言われるし、それは事実だと思うけど「Blizzardはみんなの支えのおかげで急成長した結果として変わらざるを得なかった」というのが真実だと思う。要するに言いたかったことは「PC向けRTSじゃ、成長しすぎたBlizzardという組織の自重を支える足しにはならないので、ゲームを出すプラットフォームやジャンルに限りが出てくる。だからSC3は、少なくとも多くのファンが期待する形では出ない。」と断言出来る。

Frost Giantの挑戦が形になるのを待ちつつ今まで通りRTS楽しめば良いと思う

長くなったのでFrost Giantについては次の記事で書こうと思うけど、最初の点に戻ると「そんなに悲観しなくて良くない?」と思ったので、みんなRTSの未来に期待しつつそれぞれ楽しめばいいと思う。むしろ悲観しすぎるとSC2に限らずRTSの未来がちょっと曇っちゃうかもしれないし。楽しいよね。RTSって。

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  1. Pingback: Frost Giantが作るRTSの未来 | 抵抗してもムタリスク

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